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  • 2019.02.20 Wednesday
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詩人からの手紙

 この七月に歌集『冬の虹』を出版したので、詩人の井川博年さんにお贈りしたところ、早速、感想の文章を寄せていただきました。
 わたしは井川さんの文章を読み進むにつれブログに保存したい思いが強くなり、「詩人からの手紙」というタイトルを付して記しました。

―――――――――――――――――――――――――――――

              詩人からの手紙

 いただいてすぐ拝読しました。明るくてとてもいい歌集ですね。読むとすぐに、

      ・妻の膝に効き目あること確かめて鮫の軟骨われも飲みをり

が、眼に入り、ちょうど今、私も膝を痛めていて、サメの軟骨の錠剤・グルコサミンを飲んでいるものですから、「やっぱり効くんですか」と、うれしくなりました。また、次の歌の、

      ・誕生日祝いて届く「三千盛」立原正秋好みしとあり

「三千盛」は日本一の辛口の多治見の銘酒です。私は仕事先の知人の紹介で味を覚えました。それ以外にも私の好きな詩人・歌人を詠ったものを探すといっぱいありますね。

      ・跨線橋にたたずみ津軽を偲びたる太宰治ををりをり想ふ
      ・若き日に吉本隆明学びたりし校舎を思ふ米沢の駅

そして「晩年」と題する冒頭の歌に、「啄木命」の私は感動します。今の私もそうだから

      ・若き日は宮澤賢治の詩を好み老いたる今は啄木を読む

もちろん、わが友清水昶を偲んだ歌も、もはや忘れがたい歌となりました。

      ・吉祥寺のそば屋で清水昶氏とわが歌集手に飲みし晩秋

私がこれらの歌に拘るのは、読書体験こそが文学活動の根幹だからと信じるからです。
 冨樫さんは、人生の達人です。九十一歳で第三歌集でしょう。しかもこの七年間、歌がまったく変わっていない。変わらぬスタンスで淡々と老いの日乗が詠われている。
 普通は老いるに従って生のエネルギーが減ってきて、歌もまた衰弱してしまうものです。冨樫さんはそこのところを、実に上手く調節して生きておられる。人が100パーセントでフゥフゥ言って生きるところを、70%くらいで余力を残しながら悠々と生きておられる。しかも過去を振り返らない。いつも前をみている。これが長生きの秘訣でしょうし、老いに入って歌を詠み続けるコツもそこにありそうです。でもこういう生活ができるのもすべて奥様あってこそ。
    
      ・ゆきずりに出逢ふ桜で充分と花見嫌いの妻はつぶやく
      ・峡深く山の出湯を尋ねきて「いいところね」と妻はうなずく
      ・喪服着る背のファスナーに手を貸して妻の姿勢を少し正しぬ
      ・どんど焼き終えて馴染みのすし店に妻と語りて昼の酒汲む

 『冬の虹』は冨樫さんが作者というよりも老夫婦合作の歌集といってもいいでしょう。そればかりではない。
本作りには娘さんご夫婦の力添えがあったということのようですから、これはもう一家総出の仕事というしかない。
老境の私はそのことに感動を覚えました。

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 井川博年さん、暖かいお言葉ありがとう御座いました。



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コメント
おはようございます。
大好きな井川さんから素敵なお手紙をいただいて、歌集を出した甲斐がありましたね。私からも井川さんに「ありがとう!」と言いたいです。これからもマイペースでがんばってね。
  • 陽子
  • 2017/10/25 9:40 AM
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